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人工知能に関する断創録

人工知能、認知科学、心理学、ロボティクス、生物学などに興味を持っています。このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています。最近は、機械学習、Deep Learning、Kerasに関する記事が多いです。



理性の限界

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)作者: 高橋昌一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/06/17メディア: 新書購入: 54人 クリック: 285回この商品を含むブログ (176件) を見る地味だけど非常に面白かった。理性の限界を 選択の限…

フレーム問題に関する断想

ロボットにつけるクスリ―誤解だらけのコンピュータサイエンス作者: 星野力出版社/メーカー: アスキー発売日: 2000/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 60回この商品を含むブログ (13件) を見る突然だけどこの本面白かった。フレーム問題、記号着地問題、…

再帰性と予測不能性

再帰的列挙とは、新しいものが古いものから一定の規則によって出現する過程のことである。そのような過程には、びっくりすることがたくさんあるように思われる。再帰的に定義されるその種の数列には、行動の複雑さのある本質的な増大が伴うらしく、先に進め…

数学における意味と形

ゲーデル・エッシャー・バッハの第2章。この章ではpqシステムという簡単な形式システムを使って「意味と形式」の違いについて説明している。pqシステムは、 (p, q, -) の3つの記号 公理系 1つの推論規則 から成る非常に簡単な形式システム。コンピュータと人…

ウロボロス(Ouroboros)

ラブレス夫人も、バッベジ*1に劣らずはっきりと気づいていたことであるが、解析機関の発明によって、ことに解析機関が「自分の尻尾を食べること」(機械が自分自身の記憶されているプログラムに手をつけ変更するときに作り出される不思議の環を表現したバッ…

自己言及の定理(ゲーデル)

ゲーデル・エッシャー・バッハの3人目の重要人物はK・ゲーデル。ゲーデルは不完全性定理の証明の過程で自己言及のパラドックスをうまく回避しつつ自己言及を可能にするテクニックを編み出しました。自己言及は時にとんでもないパラドックスを引き起こします…

無限の可視化(エッシャー)

ゲーデル・エッシャー・バッハの2人目の重要人物はM・C・エッシャー。とても不思議な絵を描くことで有名な人です。私も高校の教科書でエッシャーの絵を初めて知り仰天した覚えがあります。 不思議の環の概念に内在するのは無限の概念だ。というのも、環は無…

無限に上昇するカノン(バッハ)

ゲーデル・エッシャー・バッハの序論を読む。バッハのフーガ、エッシャーの絵画、ゲーデルの定理をもとにこれらの背後にある「不思議の環」という概念を考えましょうという内容。不思議の環とは、ある階層システムの段階を上へ(あるいは下へ)移動すること…

ゲーデル・エッシャー・バッハ―あるいは不思議の環

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版作者: ダグラス・R.ホフスタッター,Douglas R. Hofstadter,野崎昭弘,柳瀬尚紀,はやしはじめ出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2005/10メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 432回この商品を含む…

決定論的自由

解明される意識作者: ダニエル・C.デネット,Daniel C. Dennett,山口泰司出版社/メーカー: 青土社発売日: 1997/12メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 108回この商品を含むブログ (36件) を見るダーウィンの危険な思想―生命の意味と進化作者: ダニエル・C.デ…

偶有性

「脳」整理法 (ちくま新書)作者: 茂木健一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/09/05メディア: 新書購入: 1人 クリック: 39回この商品を含むブログ (147件) を見る久しぶりに面白い本を読んだ。本を読むときに(自分にとって)面白い・新しいことが書い…

ゲーデル、エッシャー、バッハ

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版作者: ダグラス・R.ホフスタッター,Douglas R. Hofstadter,野崎昭弘,柳瀬尚紀,はやしはじめ出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2005/10メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 432回この商品を含む…

心と脳の正体に迫る

心と脳の正体に迫る 成長・進化する意識、遍在する知性作者: 天外伺朗,瀬名秀明出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2005/09/17メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (15件) を見る瀬名さんと土井さんの対談集です。著者の天外伺朗と…

デカルトの密室

デカルトの密室作者: 瀬名秀明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/08/30メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (105件) を見る瀬名秀明さんの新作がついに出た。生物学がテーマの『パラサイトイブ』、脳がテーマの『ブレインヴァレー』と続…

自由意志のパラドックス

スピリチュアル・マシーン―コンピュータに魂が宿るとき作者: レイカーツワイル,Ray Kurzweil,田中三彦,田中茂彦出版社/メーカー: 翔泳社発売日: 2001/05メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 12回この商品を含むブログ (12件) を見るという本を読んでいたら…

炎は存在するか?

人工知能からどんどん離れてしつこくなってきたけどエリザベトのつっこみ(2005/7/24)の続き。非物質的なものに物質を動かしたり動かされたりする能力を認めることはそんなに難しいことなのだろうか?たとえば、炎は存在するのだろうか?私は小学生のころ炎…

エリザベトのつっこみ

コンピュータウィルスはパソコンを破壊できるか?(2005/7/22)の続き。デカルトは二元論者で精神と身体は独立したものだとした。ここに突っ込みを入れたのがエリザベト王女だ。 (思惟実体にほかならない)人間の精神は、いかにして身体の精気が意志的な運…

コンピュータウイルスはパソコンを破壊できるか?

破壊?できるに決まってるジャン。フリーズさせたり、ハードディスクの内容消したり、システム起動できないようにしたり・・・・・・ここでいう破壊はそういう意味じゃない。パソコンを物理的に破壊できるか?という意味*1。物理的に破壊とは、たとえば、基…

合理主義と経験主義の統合者 カント

合理主義 VS 経験主義(2005/7/12)の続き。17〜18世紀のヨーロッパの哲学は、大陸合理主義とイギリス経験主義が対立していた。この対立を解消し、統合したのがカントという哲学者。名前「だけ」は聞いたことあったなぁ。 カントは、ぼくたちが世界を経験す…

世界は神のうちにある

今日も『ソフィーの世界』の続きを読む。バークリのところ。いろいろ考えさせられたり、連想が広がったりする話題が多くて興味が尽きない。バークリはものの存在を疑った。 ぼくたちが見たり感じたりするものはすべて、バークリによれば、神の力の結果なんだ…

第二性質とクオリア

昨日の続き。今日は経験主義者ロックのところを読む。ロックは、私たちが持っている観念(=概念?)は、私たちがかつて感覚したことのあるものの反映にすぎないと考えたそうだ。たとえば、私たちがリンゴを思い浮かべると、赤い、丸い、小さい、甘酸っぱい…

合理主義 VS 経験主義

昨日に続いて『ソフィーの世界』を読む。なんかはまってきたぞ。今日は、経験主義という考え方を知った。まずは、合理主義と経験主義の意味から。 合理主義(理性論) 真の認識は経験に基づかないア-プリオリ(生得的)な理性的認識であるとする考え。これに…

ソフィーの世界

ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙作者: ヨースタインゴルデル,Jostein Gaarder,池田香代子出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 1995/06メディア: 単行本購入: 33人 クリック: 506回この商品を含むブログ (170件) を見る素晴らしい本を見つけた…

「自己」複製のパラドックス

2050年、人間は「不死身」に=脳の中身をPC保存(2005/5/26)の続き。自己複製は自分で自分を複製することだけどここで言ってるのはそれじゃない。「自己」の複製のこと。自己ってのは心理学の正式な用語じゃないみたいだけど自分を自分であると感じる感覚…

プラトンのオブジェクト指向講座

プラトンの哲学の中にイデア論というのが出てくる。Wikipediaでイデアを調べてみると下のように説明されている。 イデアとは最高度に抽象的な完全不滅の真実の実在的存在であり、感覚的事物はその影であるとする。イデアが存在しているのがイデア界(本質界…

哲学のエッセンス

というシリーズ本が新聞で紹介されてたので買ってみた。1冊1000円。最近、高い本ばかり買ってるからすごくお得に感じる。心理学とかAIの哲学関係の本を読むときの基礎知識になりそう。とりあえず、プラトン、アリストテレス、デカルトを読んでみたけど・・・…

物理記号システム仮説

命題論理の融合法という推論規則について調べた。推論を機械化できるのはすごい。何も考えなくても記号を組み合わせるだけで結論を出せるのは驚きだ。古い人工知能は物理記号システム仮説を基礎においていると習ったことがある。 物理記号システム仮説 Physi…

テスラーの定理

もし微分方程式を解く動物がいたら知能をもっていると見なされるだろうが、微分方程式を解くコンピュータは知能的とはいえない。 人工知能 その限界と挑戦(p.38) 全くその通りだ。しかし、一体何故なんだ。コンピュータにアルゴリズムを与えているのが人間…

コンピュータはしろといわれたことしかできない

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版作者: ダグラス・R.ホフスタッター,Douglas R. Hofstadter,野崎昭弘,柳瀬尚紀,はやしはじめ出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2005/10メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 432回この商品を含む…

マインズ・アイ

チューリングテストについて考えたこと(2002/6/10)で他人が知能を持っているかどうかは、見かけからしか判断できない。機械もまた同様ということを書いたが、『マインズ・アイ』という本にも同じことが書いてあった。この問題は「他者の心の問題(他我問題…

計算主義

考えるとは計算することである、と私は解する。計算するとは、加算された合計を集めたり、あるものかが他から減算されたとき何が残っているかを知ることである。つまり、考えることは足し算や引き算と同じなのである。…したがって、すべての思考はこれら二つ…

なぜ人工知能は失敗に終わらなければならないのか?

ドレイファスのAI批判のまとめは、この本の訳者がうまく表している。 離散的ビットを用いて明示的に書かれた規則(プログラム)というデジタル・コンピュータの原理に基づく人間知能の理解は、伝統的世界観、つまりは要素主義プラス計算主義の上でのみ成り立…

錬金術と人工知能

コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判 を読み終わった。少し難しいがなかなか面白かった。著者のドレイファスは「人工知能は錬金術に似ている」という発言をしたが、それについて面白い文章が載っていた。まずは、人工知能研究者のファイゲン…

チューリングテストについて考えたこと

チューリングテストととは、「機械は考えることができるか」という問いに対するテスト法として、1950年アラン・チューリングが提案した。隔離された二つの部屋の一方に端末と質問者、もう一方に機械または人間を置き、端末を通じた対話によって質問者は相手…

ゼウスの頭からアテナが十分に成長した姿で生まれたように

コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判 の一節。 ファイゲンバウム、サイモン、ミンスキー、ワイゼンバウム、その他の人々によって今日定義されているかぎりでは、人工知能は完全な成人の知能を生み出す試みであるように見える。ちょうど、ゼウ…

コンピュータには何ができないか

コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判作者: ヒューバート・L.ドレイファス,Hubert L. Dreyfus,黒崎政男,村若修出版社/メーカー: 産業図書発売日: 1992/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 36回この商品を含むブログ (14件) を見るドレイフ…

人工知能ができない理由

人工知能には強いAIと弱いAIという2つの立場がある。「知的であるかのように行為する機械を作れるか?」という問いに対して、できるという主張を弱いAIと言う。一方、知的に行為する機械は本物の、意識的な心を持っているという主張を強いAIと言う。おのおの…

機械には決してXができない

A. M. Turing: Computing Machinery And Intelligence, Mind, Vol.59, pp.433-460, 1950.チューリングテストを提案したチューリングさんの論文に「機械には決してXができない」とXの例を列挙している部分がある。 親切であること、機知に富むこと、美しいこ…

知性とは何か?

人間以外のものを知性的と呼ぶことは、人間の尊厳を汚すことになるのではないかという議論がある。人間が宇宙の中心であるという考えを変えなければならなくなるのがこわいのだ。だが、イルカや鯨、猿、犬、猫などが知的であることはまちがいない。知性とは…

ヒトの脳ができること

まとまってないけど、ひとまず考えたことを列挙。推論できる。予測できる。計算できる。学習できる。記憶できる。言語を使える。翻訳できる。会話できる。思い出せる。世界像を自己形成できる。自己組織化できる。概念を形成できる。曖昧さに対処できる。意…

人間にできてコンピュータにできないこと

を考えてみるようヒントを頂いたので、本を何冊か調べてみることにした。というわけで手始めにH. L. ドレイファスの本を読んでみた。コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判作者: ヒューバート・L.ドレイファス,Hubert L. Dreyfus,黒崎政男,村若…

AIは中世の錬金術

ドレイファスさんがAIを批判している人というのは知っていたが、彼は「AIは中世の錬金術に似ている」と発言しているらしい。 錬金術(alchemy) 古代エジプトに起り、アラビアを経てヨーロッパに伝わった原始的な化学技術。近代化学の基礎がつくられるまで全…