合理主義と経験主義の統合者 カント
合理主義 VS 経験主義(2005/7/12)の続き。
17〜18世紀のヨーロッパの哲学は、大陸合理主義とイギリス経験主義が対立していた。この対立を解消し、統合したのがカントという哲学者。名前「だけ」は聞いたことあったなぁ。
カントは、ぼくたちが世界を経験するには、感覚も理性もそれぞれに一役買っている、と考えた。そして、合理主義者は理性にウエイトを置きすぎる、経験主義者は感覚にかたよりすぎている、と考えた。
(中略)
カントは認識の出発点については、ヒュームや経験主義者たちの意見に賛成だった。ぼくたちの知識はすべて感覚をとおしてやってくる、と考えたんだ。でももういっぽうで、ぼくたちがこの世界をどのように把握するかを決める重要な前提条件はぼくたちの理性のなかにあるとした点では、合理主義者に近づいている。ぼくたちの世界のとらえ方を左右する制約のようなものがぼくたちのなかにある、ということだ
ソフィーの世界、p.413-414
中庸は重要な姿勢だ。対立する2つの意見があるときはその中間をとれないかよく考えることが重要だと感じた。カントが『純粋理性批判』という難しい本を書いていることはどこかで聞いたことあった。純粋理性(=純粋な合理主義?)を批判したってことは、経験主義と合理主義の仲直りの仕方が書いてあるのかな?
- 人間にできてコンピュータにできないこと(2002/4/10)
- コンピュータには何ができないか(2002/6/3)
- 錬金術と人工知能(2002/6/10)
- なぜ人工知能は失敗に終わらなければならないのか?(2002/6/10)
で書いたドレイファスさんは、『純粋人工知能批判』というカントの本によく似たタイトルの本を書いている。

純粋人工知能批判―コンピュータは思考を獲得できるか (アスキー・海外ブックス)
- 作者: ヒューバート・L.ドレイファス,椋田直子,スチュアート・E.ドレイファス
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 1987/03
- メディア: 単行本
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合理主義 VS 経験主義(2005/7/12)に人工知能研究にも合理主義(推論重視)と経験主義(相互作用重視)の対立の構造があると書いた。ドレイファスさんはこの本で純粋人工知能、つまり推論重視の合理主義を批判していることが想像つく。
ところで、人工知能研究における「カント」はいったい誰なのだろう?