人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

哲学

計算主義

考えるとは計算することである、と私は解する。計算するとは、加算された合計を集めたり、あるものかが他から減算されたとき何が残っているかを知ることである。つまり、考えることは足し算や引き算と同じなのである。…したがって、すべての思考はこれら二つ…

なぜ人工知能は失敗に終わらなければならないのか?

ドレイファスのAI批判のまとめは、この本の訳者がうまく表している。 離散的ビットを用いて明示的に書かれた規則(プログラム)というデジタル・コンピュータの原理に基づく人間知能の理解は、伝統的世界観、つまりは要素主義プラス計算主義の上でのみ成り立…

錬金術と人工知能

コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判 を読み終わった。少し難しいがなかなか面白かった。著者のドレイファスは「人工知能は錬金術に似ている」という発言をしたが、それについて面白い文章が載っていた。まずは、人工知能研究者のファイゲン…

チューリングテストについて考えたこと

チューリングテストととは、「機械は考えることができるか」という問いに対するテスト法として、1950年アラン・チューリングが提案した。隔離された二つの部屋の一方に端末と質問者、もう一方に機械または人間を置き、端末を通じた対話によって質問者は相手…

ゼウスの頭からアテナが十分に成長した姿で生まれたように

コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判 の一節。 ファイゲンバウム、サイモン、ミンスキー、ワイゼンバウム、その他の人々によって今日定義されているかぎりでは、人工知能は完全な成人の知能を生み出す試みであるように見える。ちょうど、ゼウ…

コンピュータには何ができないか

コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判作者: ヒューバート・L.ドレイファス,Hubert L. Dreyfus,黒崎政男,村若修出版社/メーカー: 産業図書発売日: 1992/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 36回この商品を含むブログ (14件) を見るドレイフ…

人工知能ができない理由

人工知能には強いAIと弱いAIという2つの立場がある。「知的であるかのように行為する機械を作れるか?」という問いに対して、できるという主張を弱いAIと言う。一方、知的に行為する機械は本物の、意識的な心を持っているという主張を強いAIと言う。おのおの…

機械には決してXができない

A. M. Turing: Computing Machinery And Intelligence, Mind, Vol.59, pp.433-460, 1950.チューリングテストを提案したチューリングさんの論文に「機械には決してXができない」とXの例を列挙している部分がある。 親切であること、機知に富むこと、美しいこ…

知性とは何か?

人間以外のものを知性的と呼ぶことは、人間の尊厳を汚すことになるのではないかという議論がある。人間が宇宙の中心であるという考えを変えなければならなくなるのがこわいのだ。だが、イルカや鯨、猿、犬、猫などが知的であることはまちがいない。知性とは…

ヒトの脳ができること

まとまってないけど、ひとまず考えたことを列挙。推論できる。予測できる。計算できる。学習できる。記憶できる。言語を使える。翻訳できる。会話できる。思い出せる。世界像を自己形成できる。自己組織化できる。概念を形成できる。曖昧さに対処できる。意…

人間にできてコンピュータにできないこと

を考えてみるようヒントを頂いたので、本を何冊か調べてみることにした。というわけで手始めにH. L. ドレイファスの本を読んでみた。コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判作者: ヒューバート・L.ドレイファス,Hubert L. Dreyfus,黒崎政男,村若…

AIは中世の錬金術

ドレイファスさんがAIを批判している人というのは知っていたが、彼は「AIは中世の錬金術に似ている」と発言しているらしい。 錬金術(alchemy) 古代エジプトに起り、アラビアを経てヨーロッパに伝わった原始的な化学技術。近代化学の基礎がつくられるまで全…