偶有性
- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/09/05
- メディア: 新書
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久しぶりに面白い本を読んだ。本を読むときに(自分にとって)面白い・新しいことが書いてあるページの右上を折っておくのだがこの本は折り目だらけになった。
自由意志のパラドックス(2005/08/08)の続き。
ほぼ完全な規則性があって予言することができる場合と、ほぼ完全にランダムな場合については、現代の科学はきわめてすぐれた実験的、理論的な方法論を提供することができます*1。「確実さ」と「ランダムさ」は、現代の科学的世界観において、比較的扱いやすいものなのです。
(中略)
難しいのは、半ば偶然的に、そして半ば必然的に起こるような出来事、すなわち「偶有性」をはらむような事象です。偶有性をもった出来事こそが、科学的方法論では扱いにくく、その一方で私たちがいかに生きるかという「生活知」に大いにかかわる領域なのです。
p.61
この本の中心的な話題が偶有性だ。すごくたくさん出てくる。偶有性は人間にとって重要な性質として挙げられている。たとえば、他者は偶有性を持つ典型的な存在だ。
最近少し考えてたのがまさにこの問題だった。偶有性という言葉は始めて知ったのだけれど。問題はこうなる。
- 規則性とランダム性の中間の状態、すなわち偶有性をどうすれば作れるか。
- 規則に基づきながら人間に予想もつかない行動をどうすれば作れるか。
- 無限の行動パターンをどうすれば作れるか。
もちろん完全な規則に従うコンピュータープログラムでだ。人工知能にとってかなり重要な気がする。この本は偶有性をまったく違う文脈で説明してるんだけどつい人工知能にからめたくなってしまう。
本の題名が今流行りのHow To本みたいでよくない感じがした。中身をめくっといてよかった。
*1:注:完全にランダムな現象は確率論と統計学で扱える