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人工知能に関する断創録

人工知能、認知科学、心理学、ロボティクス、生物学などに興味を持っています。このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています。最近は、機械学習・Deep Learningに関する記事が多いです。



フェルマーの最終定理

日記

フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

エルンスト・クンマーの仕事によって、フェルマーの最終定理が証明される望みはますます薄くなった。そのうえ数学の最先端は他の領域に移りはじめ、新世代の数学者たちは、解決できそうにない行き止まりの問題などには目もくれなくなりそうだった。20世紀のはじめまでは、フェルマーの最終定理はそれでも数論の中心部に特別な位置を占めていたが、この問題に対する数学者の態度は、錬金術に対する科学者のそれと変わらなくなっていた。どちらも過ぎ去った時代の荒唐無稽な夢物語になっていたのである。
p.159

フェルマーの最終定理は、17世紀の数学者フェルマーが残した問題。

方程式 x^n+y^n=z^n (nは2より大きい整数)には整数解がない

たったこれだけ。問題自体はすごく単純に見えて私でも理解できる。ただ証明がものすごく難しく、350年間一流の数学者が人生をかけて挑み続けてきたが誰も証明できなかった。そして、350年たってようやくワイルズによって証明された!この本はそのワイルズの物語。

この本を読んでいて現在の人工知能の状況に非常によく似ているなーと感じていた。人工知能にあてはめると謎をかけたフェルマーにあたるのはチューリングが妥当かな?20世紀後半に一流の数学者や情報科学者がよってたかって参入し、情報科学の最先端に位置していたのも似ている。人工知能が実現される望みは薄くなって、情報科学の最先端は他の領域に移っていったのも似ている。新世代の情報科学者が実現できそうにない人工知能に目もくれなくなりそうなのも似ている。錬金術にたとえられたのも似ている。夢物語だと思われているのも似ている。

そしてフェルマーの最終定理を解く過程で生み出されたさまざまな定理が数論に多大な貢献をしたように、人工知能を実現する過程で生み出されているさまざまな技術が情報科学に多大な貢献をしているのも似ている。

フェルマーの最終定理でさえ350年もかかったんだから、たった50年ちょっとしか経っていない人工知能などまだまだあきらめるのは早いのかも。フェルマーの最終定理は、20世紀の数論のあらゆる技術を統合してやっと証明できたという。人工知能も各分野の統合が重要だと叫ばれている。いずれ実現されるかもしれない。

人工知能でワイルズにあたる人はまだいない。

この本でワイルズのとったアプローチが克明に描かれているのだがなかなか興味深い教訓だと思う。

  • 過去の手法に徹底的に精通する
  • 過去の失敗の原因を追究する
  • 最新の研究から武器(証明に使えるテクニック)を取得する
  • 一見関係のない分野に武器を求める
  • 使える武器を自ら開発する
  • 回り道をいとわない
  • 長期間耐える