国家の品格
- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 新書
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どんな内容か興味があったので読んでみた。すばらしい指摘が多く、新しい視点が手に入ったと思う。
書評とかで「論理と合理性だけではだめだ、これからは情緒を大切にせねば」というのは聞いていた。著者が数学者ということなのでたぶんゲーデルの不完全性定理が出てくるなと思っていたらやはりあった。
「論理は世界をカバーしない」ということです。数学のように論理だけで構築されているような分野でも、論理ですべてに決着をつけることは出来ないのです。
p.44
ここで人工知能に造詣があれば「1980年代に人間のこころを論理を用いて再現しようとした人工知能研究は見事に失敗に終わりました。人間のこころは論理だけではないのです」とか書かれるんだろうなーとか思って読んでた。人工知能も論理だけではだめだ。情緒を大切にせねば。
他には民主主義の公理が誤っているという指摘が面白かった。民衆は賢くないってずばり言い切っている・・・
日本人の代表的な思想として武士道が挙げられているんだけどこれはどうか。うちは代々農民で武士になったことありませんが?というか日本人の大部分は元農民でしょう。農民も武士道精神持ってたってことか?農民も立派な武士を見習おうとしてたってことか?それに水戸黄門はぜひ中止にすべきですよね?(笑)武士の品格を貶めている。
冗談はおいといてすばらしい理想が掲げられているので一読するとよいかも。理想は高く掲げることに意義があると思う。ただこの方の指摘が本当に正しいかはわからないんだよな。論理で決定することができないからまさに情緒で決めるしかないかも。