IFX理論
- 作者: 原丈人
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 単行本
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著者の原丈人氏はASCIIで人工知能の記事を書いていてそれを読んでから注目していた。この人はベンチャーキャピタリストで、現在の資本主義への批判など自分の考え方と似ていて好感を持っている。最近だとCNETに
という記事もあった。
この人はポストコンピュータ時代の姿としてPUC(Pervasive Ubiquitous Communication)というコミュニケーションに基づいた次世代のアーキテクチャを提案している。ユビキタスと似ているが著者によると
- 機械が人間に合わせる
- 計算機能でなくコミュニケーション機能重視
という点でユビキタスとは異なる概念だという。このPUCこそ次世代の基幹産業として日本が取り組むべきだと主張している。PUCではハードウェアとソフトウェアの統合が必要であり、ソフトウェア一辺倒のアメリカには荷が重い。製造業が強い日本にこそふさわしいという論法。
PUCを支える新しい技術として
- 次世代通信デジタル信号処理プロセッサ(cDSP)
- 組み込み型ソフトウェア(EmS)
- ネットワーク・セキュリティ(NWS)
- ピア・トゥ・ピア型ネットワーク(PtoP)
- ソフトウェア・スイッチング(SoSW)
- デジタル・ディスプレイ・コントローラ(DDC)
を挙げている(pp.107-108)。興味深いのはP2Pを挙げている点だ。著者はP2Pに適したデータベース理論としてIFX理論というのに注目している。
クライアントサーバ時代のデータベース技術は、どこかにデータを集中し、そこから出して使うための技術です。ピア・トゥ・ピアというメッシュ状のネットワークは、すべてのノードがデータを格納するストレージになりうるものでなければなりません。私たちは1990年代の後半から、こうしたピア・トゥ・ピア型のネットワーク環境を支えるためのデータベース技術を探していましたが、その結果として出会ったのが、IFXという理論の発案者グループです。彼らの新しい理論は、「インデックス・ファブリック(IFX)理論」と呼ばれています。これは、パトリシアと呼ばれる検索アルゴリズムをベースにはしていますが、さらなるパフォーマンス、柔軟性を向上させるための様々な革新的なアイデアが盛り込まれたまったく新しい理論です。この理論が拓く可能性は実に多様で、将来は、おそらく現在のデータベースという概念そのものを変えてしまうでしょう。
p.110
IFXは2001年のVLDB(Very Large Data Bases)学会*1で発表されたらしい。説明によると構造化されていないデータの処理を劇的に軽くできるという。非常に興味がある。原論文探してみよう。
関連リンク
- 適応インタフェース 機械学習とヒューマンインタフェースの接点(2004/1/9)
- Personal Digital Assistance(2005/9/14)
- 人間ものがたり(2005/12/29)
- 環境の最適化(2006/5/17)
*1:相関ルール発見アルゴリズムのAprioriが発表されたとこと同じですね