脳のはたらきのすべてがわかる本
- 作者: ジョン・J.レイティ,John J. Ratey,堀千恵子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/03
- メディア: 単行本
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を読んだ。英語のタイトルは、"A User's Guide to the Brain"。期待していたとおり脳の機能(発達、知覚、意識、運動、記憶、情動、言語、社会脳)がわかりやすく書いてあった。しかも最近出た本なのでわりと新しい研究成果について書かれているところもいい。
著者は医学系の人なので脳障害を負った人の観察を通して脳の機能説明を行っていることが多い。例えば、ボールは見えないのにボールの動きがわかる患者さんが出てくる。どうしてそんな不思議なことがおきるのか脳の仕組みをもとに解説している。
また、この本は自閉症、失読症、統合失調症のような脳の障害を負った人への差別などが描かれている。体の障害を負った人に比べて、精神障害を負った人は差別されやすいというのは自分も今までの経験からなんとなく感じていた(例えば、精神科が嫌われるとかそういうの)。著者はそのような差別を批判している。どんな精神障害も脳の「生物学的」な面に起因しているのであって、腰痛で自分を恥じることがないのと同じように、精神病も自分を恥じる必要はないと主張している。
ただ、著者は医者なのでそのような障害を持った人の脳は「病的」で「異常」だとしている(だから治療する必要がある)。だけど、患者の脳以上に「病的」で「異常」なのはそのような人を受け入れない社会の方だということを痛感した。