機械には決してXができない
A. M. Turing: Computing Machinery And Intelligence, Mind, Vol.59, pp.433-460, 1950.
チューリングテストを提案したチューリングさんの論文に「機械には決してXができない」とXの例を列挙している部分がある。
親切であること、機知に富むこと、美しいこと、友好的なこと、自発性があること、ユーモアのセンスがあること、善悪の判断がつくこと、誤りを犯すこと、恋に落ちること、苺とクリームを楽しむこと、誰かを恋に落とすこと、経験から学ぶこと、言葉を正しく使うこと、自分自身の考えの主題になること、人間と同じぐらいの行動の多様性を持つこと、本当に新しいことをすること。
ずいぶん昔の話なので今ではできていることがある。例えば、「経験から学ぶ」というのは限定されるが可能だし、「言葉を正しく使うこと」もある程度は可能になってきたと思う。
あと、抽象的すぎてよく分からないものもある。「親切であること」?ヒューマンインターフェースの問題か。「善悪の判断がつくこと」?ヒトにもできないのじゃないか、第一善悪の判断基準は何か。「苺とクリームを楽しむこと」?感情と五感ということか。「恋に落ちること」?先生が「恋するコンピュータ」というお話しをしていたけどどうなんだろう。「誤りを犯すこと」?最適解が求められず、局所解に陥るのは違うのか。「美しいこと」?フラクタルはきれいだし、コンピュータアートでも美しいのはあるのでは。
この中で最も重要なのは「自発性があること」だと思う。つまり機械に意志を持たせるということ。言い換えると欲望とか願望を持たせることだろう。これができないと自律性を持たせることはできそうにない。
よく読むとチューリングさんがこう考えているわけではないような・・・一般的に言われていることらしい。