人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

機械には決してXができない

A. M. Turing: Computing Machinery And Intelligence, Mind, Vol.59, pp.433-460, 1950.

チューリングテストを提案したチューリングさんの論文に「機械には決してXができない」とXの例を列挙している部分がある。

親切であること、機知に富むこと、美しいこと、友好的なこと、自発性があること、ユーモアのセンスがあること、善悪の判断がつくこと、誤りを犯すこと、恋に落ちること、苺とクリームを楽しむこと、誰かを恋に落とすこと、経験から学ぶこと、言葉を正しく使うこと、自分自身の考えの主題になること、人間と同じぐらいの行動の多様性を持つこと、本当に新しいことをすること。

ずいぶん昔の話なので今ではできていることがある。例えば、「経験から学ぶ」というのは限定されるが可能だし、「言葉を正しく使うこと」もある程度は可能になってきたと思う。

あと、抽象的すぎてよく分からないものもある。「親切であること」?ヒューマンインターフェースの問題か。「善悪の判断がつくこと」?ヒトにもできないのじゃないか、第一善悪の判断基準は何か。「苺とクリームを楽しむこと」?感情と五感ということか。「恋に落ちること」?先生が「恋するコンピュータ」というお話しをしていたけどどうなんだろう。「誤りを犯すこと」?最適解が求められず、局所解に陥るのは違うのか。「美しいこと」?フラクタルはきれいだし、コンピュータアートでも美しいのはあるのでは。

この中で最も重要なのは「自発性があること」だと思う。つまり機械に意志を持たせるということ。言い換えると欲望とか願望を持たせることだろう。これができないと自律性を持たせることはできそうにない。

よく読むとチューリングさんがこう考えているわけではないような・・・一般的に言われていることらしい。

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