生命とは動的平衡にある流れである
今さらだけどベストセラーである『生物と無生物のあいだ』を読んだ。大学研究室の生々しい現状とか研究者の内情とかところどころあってなかなか面白い(そっちの方が本編より面白かったりして)。
- 作者: 福岡伸一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/18
- メディア: 新書
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「生命とは自己複製するものである」というよくある定義とは違った、シェーンハイマーの新しい生命観「生命とは動的平衡にある流れである」が印象に残った。目から鱗というほどではないが自分にとっては新しい見方だった。
爪は伸びる。髪は伸びる。垢が出る。身体を構成するあらゆる部分、歯も骨も臓器も脂肪も日々絶え間なく合成と分解を繰り返している。一年前の自分を構成していた身体の細胞は一年後にはすっかり置き換わっている。なのに個体としての生命は何事もないかのごとく継続して存在している。なんか不思議ですね!
エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くことなのである。つまり流れこそが、生物の内部に必然的に発生するエントロピーを排出する機能を担っていることになるのだ。
p.167
生命システムに限らず、人工システムにも通じる示唆ではないか?具体的にどういう同型対応があると主張できるわけではないけど。
関連リンク
- 生命の定義(2002/3/8)