人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

脳=記憶システム

考える脳 考えるコンピューター

考える脳 考えるコンピューター

  • 作者: ジェフ・ホーキンス,サンドラ・ブレイクスリー,伊藤文英
  • 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
  • 発売日: 2005/03/24
  • メディア: 単行本
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を読んでる。著者は「記憶」と「予想」が知能の根源だとしている。「予測」の方はともかく「記憶」の方は私の考えに近い。

では、考えられる最大の並列コンピューターが何億、何兆というステップをかけても計算できない難問を、なぜ脳は100ステップで解くことができるのか?その理由は、脳が問題の答えを「計算」するのではなく、記憶の中から引き出してくるからだ。

(中略)

新皮質全体は一つの記憶システムであって、けっしてコンピューターなどではないのだ。

p.80

前に、テレビで将棋を解く人工知能プログラムの解説をしていた。

A: 今のコンピュータはその「計算力」を生かして、力ずくで解を探索しているんです。
B: 人間の方法とはだいぶ違いますね。
A: そうですね。人間は直感を使って一瞬でどの手がよいか判定できているようなんです。
B: 人間の脳はすごい高速なんですね。

とかそんな流れだったような。この「直感」がくせものだ。少し考えてたのだが、直感はまさしく記憶だろう。脳がその場で高速に計算してるのではなく、記憶から呼び出しているから高速なのだ。脳による計算や推論が激しく遅いことからもうかがえる。

問題は直感を可能にする記憶の構造だ。ありとあらゆる情報をどうコード化すればよいのか。記憶の断片からどのように連想するのか。ホーキンスさんはどういう解答を考えているのだろう?