ランダムウォーク
いま、1000人の酔っ払いが終電の終わった東京駅にいるといよう。ここで、酔っ払いたちは、有楽町方面と神田方面にいっせいに歩き出した。この時、ひとりひとりの確率は、1歩ごとに、左右どちらの方向に動く場合も1/2とする。すると、始電が動き出すときにどうなっているであろうか。
有楽町方面も神田方面も同じ確率であるから、酔っ払い達は、東京駅近辺をうろうろ歩きまわっているだけと予想される。ところが、実際にはあっという間に集団はばらけ、場合によっては田町駅や上野駅まで広がっていくのである。歩行の回数を増やせばもっと遠くの大宮駅や大船駅まで達するものも出てくる。つまり、試行回数を増やすと、集団のばらつきは大きくなり、全員が東京駅にいるというもとの状態には決して戻らないのである。これを不可逆現象と呼んでいる。
なるほど確率論, p.6
すごく不思議な現象だ。直感に見事に反している。左右どちらへ行くのも同じ確率なんだからその場から動かないとしか思えないのだけど・・・
試しにランダムウォークのグラフをいくつか描いてみた。
各線は酔っ払いの移動軌跡と思えばよい。スタート地点0が東京駅だ。上の本のように左右1/2の確率ではなく平均0で-0.5から0.5の乱数であるホワイトノイズを「1歩」としてグラフを描いた。10000歩も歩かせた。酔っ払いのみなさまお疲れさまでした(笑)
各酔っ払いの軌跡はばらばらだ。東京駅近辺をうろついてるわけでもない。かなり遠くまで行っちゃう人も出てきている。
確率論で証明できるらしいけど、とっても不思議な現象で面白い。
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