ウォズの魔法使い
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アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝
- 作者: スティーブ・ウォズニアック,井口耕二
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/11/29
- メディア: 単行本
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アップルと言えばスティーブ・ジョブズが有名だけど創業者は二人いた。この本は二人のスティーブのうちもう一人スティーブ・ウォズニアックの自伝。ヒューレット・パッカードの社員だったが、ジョブズに誘われてアップルを起業したとのこと。ウォズっていう名前と天才的エンジニアだということは聞いたことあるけど人物像は知らなかった。想像していたイメージとだいぶ違う陽気なオッサンだった(笑)この人は根っからのエンジニアなんだなぁ。ほんと楽しそうに語ってる。
そう言えば、ちょっと変な話なんだけど、最終的にアップルIボードになるものを作り始めたころ、同じ日に死ぬ二人の男のことが頭に浮かんだ。片方は成功者。会社を経営し、いつも目標の売り上げを達成し、利益を出し続けるんだ。もう一人はのらりくらりとしてて、お金もあんまり持ってない。ジョークが好きで、世の中でおもしろいと思うこと、変わった装置とかテクノロジーとか、なんかかんかを追っかけ、ただただ笑って人生を過ごすんだ。物事をコントロールする人より、笑って過ごす人のほうが幸せだって、僕は思う。それが僕の考え方なんだ。僕は、人生で一番大事なのは幸せであり、どれだけ笑って過ごせるかだと思うんだ。頭がちょっといかれたようなヤツのほうが幸せなんだ。僕はそういう人間だし、そうなりたいとずっと思ってきた。(p.199)
こういう生き方を貫ければ本当に幸せだろうな。でもエンジニアにそういう生き方を許さないくだらない社会的・経済的圧力がたくさんあるんだろう。そういうものを跳ね返せるだけの精神力と技術力を持てればいいんだろうけれど。くじけそうなときこの本読めば元気になれるかも。
こういう詩がある。
O God, give us serenity to accept what cannot be changed,
courage to change what should be changed,
and wisdom to distinguish the one from the other.Reinhold Niebuhr
(訳)
神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。ラインホールド・ニーバー(大木英夫 訳)
この本でアップルの創業時のロゴ(Wikipedia)への言及があるけどそこに刻まれた一節が心に残った(枠に最後の一行が書いてあるけど解像度が低くてよく見えない)。ウィリアム・ワーズワースの詩の一節らしい。ワーズワースってときどき見かけるけどすてきな詩を書くなぁ。こんど読んでみようかな(もちろん対訳付きのね)。
The antechapel where the statue stood
Of Newton with his prism and silent face,
The marble index of a mind for ever
Voyaging through strange seas of Thought, alone.William Wordsworth : The Prelude