先を読む頭脳

- 作者: 羽生善治,松原仁,伊藤毅志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/08/24
- メディア: 単行本
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将棋のプロ羽生さんがどうやって将棋を指しているかを認知科学的に分析してみようという本。将棋のAIを研究している松原さんが著者に入ってます。羽生さんの経験談とその解説という構成で話が進みます。
この本に面白い実験がある。プロ棋士の実戦譜とランダムに指した棋譜を3秒(!)見て暗記するという課題を出したとき再現精度に大きな違いがでるのだ。実戦譜だとほぼ100%の正解率だが、ランダム譜だと正解率が50%を下回る。この結果は盤面全体をそのまま丸ごと覚えるというより意味のあるパターンを認識してそこにいたる軌跡を記憶から引き出していることを示している。

- 作者: ほったゆみ,小畑健,梅沢由香里
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/05
- メディア: コミック
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話は変わるけど『ヒカルの碁』って漫画に、盤面をちらっと見ただけで石の配置を覚えて最初から再現できるみたいな話があった。こんなのマジでできる人いるのかと思ってたんだけど本当にできるんだなー。すごい。
現在の将棋AIは、しらみつぶし先読み探索が基本だと思うのだけど、CPUパワーより記憶容量をフルに使うような手法はないのかなーと思った*1。序盤の定石を覚えさせるって話はあるみたいだけど定石以外は無理なのかな?この本には新しい手法を考えるネタがたくさんつまっている感じがした。
前に、オセロ(2004/9/18)は作ったことあるんだけど将棋も作ってみたくなった。たぶん勝てないだろうな。携帯にダウンロードした将棋アプリの初級に勝てるようにがんばってみるか(笑)
追記(2007/11/17)
Bonanzaという日本人が作った最強の将棋ソフトが過去の棋譜からの機械学習アプローチを用いているらしい。
関連リンク
- 考える脳 考えるコンピューター(2005/4/11)
- 脳=記憶システム(2005/4/11)
*1:記憶するのはもちろん過去の棋譜。まあ記憶を探索するにもCPUパワーがいるけど。