人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

偶然とは何か

何の因果関係もなく、予期しない出来事が起こるさま

広辞苑

偶然とは何か―北欧神話で読む現代数学理論全6章

偶然とは何か―北欧神話で読む現代数学理論全6章

北欧神話との関係が楽しい。第1章『偶然』にコンピュータが偶然(ランダム)を生み出せるかに関する議論がある。コンピュータでランダムな数(乱数)を作る基本的な方法は下記のような漸化式を使う方法である。

X(n) = a * X(n-1) + c \; mod \; M

これで(擬似)乱数列が得られる。しかし、このような算術的生成法では真の偶然は起こせない。生み出される乱数列は、1つ前の数字に依存しているから。究極的には初期値X(0)に依存している。つまり因果関係があるのだ。

ちなみにプログラミングでよく出てくる乱数のシードは漸化式の初期値X(0)のこと。C言語だと

srand( (unsigned)time( NULL ) );

みたいに現在時刻を与えることが多い。シードが同じだと後の乱数列はまったく同じになる。私は以前、srand()し忘れてて、「あれ乱数なのに毎回結果が同じだよ・・・」って悩んでたなー。

ではコンピュータで因果関係のない偶然が作れるのか?今のところ作れないらしい。量子論が示すように偶然は自然しか持てない能力なのか。

偶然はわたしたちの現状認識を揺さぶり、貧弱な予測をうち破って真に新しい何かを創り出すのだ

(中略)

自然はわたしたちを愚弄している。そしてわたしたちは、世界の外れにいて、世界が見えていない愚かなよそ者なのだ。

偶然とは何か、p.57