偶然とは何か
何の因果関係もなく、予期しない出来事が起こるさま
広辞苑
- 作者: イーヴァルエクランド,Ivar Ekeland,南條郁子
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
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北欧神話との関係が楽しい。第1章『偶然』にコンピュータが偶然(ランダム)を生み出せるかに関する議論がある。コンピュータでランダムな数(乱数)を作る基本的な方法は下記のような漸化式を使う方法である。
これで(擬似)乱数列が得られる。しかし、このような算術的生成法では真の偶然は起こせない。生み出される乱数列は、1つ前の数字に依存しているから。究極的には初期値X(0)に依存している。つまり因果関係があるのだ。
ちなみにプログラミングでよく出てくる乱数のシードは漸化式の初期値X(0)のこと。C言語だと
srand( (unsigned)time( NULL ) );
みたいに現在時刻を与えることが多い。シードが同じだと後の乱数列はまったく同じになる。私は以前、srand()し忘れてて、「あれ乱数なのに毎回結果が同じだよ・・・」って悩んでたなー。
ではコンピュータで因果関係のない偶然が作れるのか?今のところ作れないらしい。量子論が示すように偶然は自然しか持てない能力なのか。
偶然はわたしたちの現状認識を揺さぶり、貧弱な予測をうち破って真に新しい何かを創り出すのだ。
(中略)
自然はわたしたちを愚弄している。そしてわたしたちは、世界の外れにいて、世界が見えていない愚かなよそ者なのだ。
偶然とは何か、p.57