人工知能は非常識な奴
続・科学の終焉(おわり)―未知なる心 (Naturaーeye science)
- 作者: ジョンホーガン,筒井康隆,John Horgan,竹内薫
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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心に関する広範囲な分野の現状とその終焉が書かれている。人工知能にも1章丸々割かれていたので読んでみた。タイトルに終焉とあるようにかな〜りブルー(ディープブルー)な気分になること請け合いだ。
心の話なので人工知能の章も強いAI*1に関する研究だけが取り上げられている。具体的にあげると
- サイモンの予言
- ドレイファスの反論
- レナートのCyc
- ブルックスアプローチ
- ミンスキーの感情の機械(Emotion Machine)
など。特にCycの話が面白かった。昔、流行ったみたいで人工知能学会誌にも特集があったけど最近はほとんど聞かない*2。当時の様子(もう20年くらい前)は知らなかったからレナートの目標とか知れたのはよかった。
レナートの目標は、Cycが自分自身の新しい知識を新聞、書籍や他の情報源を走査することによって吸収させたかったらしい。1984年にプロジェクトがスタートしてからずっと研究が続けられているがまだできてない。20年もたってできないとは実現は絶望的なのだろうか・・・
この著者もできあがったCycについて
- Cycの検索エンジンへの応用程度*3では世界を揺るがすほどのものでないだろう
- この「常識あるマシン」とやりとりするためにはどう見ても常識とはいえないほど高度に専門化された知識が必要になる
と突っ込みを入れている。1つめは結構面白い応用が期待できると思うな。2つめは苦笑してしまった。人工知能は非常識ってこれだな(笑)
Cycの目標は
人間の心がどう機能するかについて、もっと理解することでも、知能についてのある特定の理論を検証することでもない。そんなことではなく、われわれは全プロジェクトに対して、きわめて実践的な技術的アプローチをとることによって、一つの人工的作品に他ならないものを制作したのだ。
p.322
と述べられている。一つの人工的作品っていう表現が興味深い。人工の知能なんだから人間とは根本的に異なっていてもそれはそれでいいのだ。Cycは強いAIを目指しているように見えてたけど案外現実的な応用研究と合致してたのかも。というよりこれからしていくのかも。
関連リンク
- Cyc(2005/04/20)
- 可能な知能(intelligence-as-it-could-be)(2004/08/06)