コンピュータゲームはAIのキラーアプリ
人工知能におけるゲームの役割(2003/12/16)の続き。
Lairdさんの論文
- J. E. Laird, M. V. Lent: Human-level AI's Killer Application: Interactive Computer Games (PDF), AAAI National Conference on Artificial Intelligence, 2000.
を読んだ。
この論文は「人間レベルのAIを研究する上で対話的コンピューターゲームは最適な環境だ」ってことを主張している。また、「ますます増大するコンピュータゲームのリアリズムは、現実世界のロボティクス、自前のシミュレーション環境両方に代わる魅力的なものになる」とも述べている。
なんでコンピュータゲームなんだろう?その理由をまとめると次のようになる。
- 製品になる。つまり、AI研究は役に立たないという批判をかわすことができる。
- コンピュータゲーム開発者は人間レベルのAIの必要性が分かり始めてきた。
- コンピュータゲーム産業の技術競争は激化している。AIはゲームを進歩させ、ヒット作を出すための鍵になる。
- コンピュータゲームは巨大産業であり、資金が豊富である。
- コンピュータゲームのハードウェアはより安く、より高速になってきており、AIのアルゴリズムを実行できるほど強力になってきている。
- 現在のゲームに使われているAIは、非常に限られたものである。
この後、コンピュータゲームの各ジャンル、アクション、ロールプレイング、アドベンチャー、戦略、シミュレーション、チームスポーツ、個人スポーツなどにどうやってAIを生かせるかが書かれてた。
この論文はあくまで米国ゲーム産業の状況で、日本の状況を言ってるのではない。日本ではAIを売り物にしたゲームいくつかあるけど、あんまり売れてないみたいだし・・・高度なAI入れたからってゲームが面白くなってたくさん売れるとは限らないとも思う。でも、こういう試みはなんか新しそうで楽しそう。
この論文読んでて知ったのだけど、「人工知能」という名前を提案した、かのマッカーシーさんもLemmingsというゲームを例にあげて、対話的コンピュータゲームはAI研究のトピックとして考えられるべきだと述べているらしい。
- J. McCarthy: Partial Formalization and the Lemmings Game (PDF), 1998.
こういうテーマは、客観的評価が難しいから論文にはなんない(もとい、なりにくい)と思うけど、別スレッド立てて追究してみると楽しそう。