コンピュータが子供たちをダメにする

- 作者: クリフォードストール,Clifford Stoll,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2001/11
- メディア: 単行本
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という本を読んだ。題名が面白そうだったのでつい借りてしまった。何か前にも同じような本を見たことがあると思ったら、

- 作者: クリフォード・ストール,Clifford Stoll,池央耿
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1991/09
- メディア: 単行本
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- 作者: クリフォードストール,Clifford Stoll,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1997/01
- メディア: 単行本
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と同じ著者(クリフォード・ストール)の3作目だった。
著者はコンピュータ自体を非難しているわけではなく(著者自身もコンピュータをばりばり使っている)、コンピュータの子供の教育への過剰な利用、マスコミの過熱な報道と過度のIT政策に反対している。高校生ならまだしもコンピュータの教育は早ければ早いほどよいといって3歳児に使わせたり、幼稚園、小学校にまで予算をつぎ込んでコンピュータを設置するのは異常だとしている。子供たちにはコンピュータを使うよりもっと重要なことがあるはずだというわけである。
コンピュータは教育に役立つ(知的CAIのこと)なんてのは、馬鹿げている。子供に必要なのは優秀な教師とのインタラクション、教室での粘り強い反復学習、読書、仮想世界でなく現実の自然、人間とのコミュニケーションである。コンピュータでゲーム感覚で楽しむのなんて勉強じゃない、インターネットで派手な星の写真や動物、自然を見るより、外へ出たほうが何倍もよい。インターネットは情報の宝庫で学習に役立つなんて嘘だ。小学生はインターネットを使ってそんな情報にアクセスするとは思えない、きっとゲーム、チャット、メールにはまってしまうはずだ。そして、何時間もの貴重な時間を失うことになる。今の小学校の情報化で儲けているのは、コンピュータ会社とその関係者であり、彼らはその結果として子供たちにどんな影響を与えるのか全く考えていない。
というのが主張であると読み取った。正論だと思う。自分も初めてインターネットを使い始めたときは、面白くて何時間も平気で使っていたからな。アンケートによると97%もの人がインターネットを使っていると時間を忘れてしまうという。きっと中毒性があるのだろう。自律できる大人ならともかく子供にとっては危険すぎるかもしれない。『インターネット中毒』なんて本もあったと思う。

- 作者: キンバリー・S.ヤング,Kimberly S. Young,小田嶋由美子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 1998/09
- メディア: 単行本
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次のくだりが印象に残った。
テクノロジーが力を授けるって?でも僕は、自分の人生がモデムに小刻みに吸い込まれていくのを見ているうちに、インターネットは力を授けたりしない、ということに気づいた。インターネットは僕らから力を奪う。
p.187
また、パワーポイントによるコンピュータを使った発表にも喝を入れている(別に使うなとは言っていない、ようは使い方。)
だったら人前で話すとき、評判を得るにはどうする、っておたずねですか?それは、自分の話のテーマをとことん理解し、コンピュータやレーザーポインタやPCプロジェクトを使わずに、即興で話ができるようにすることです。そして、重要なポイントを黒板にチョークで書いて、大きな声で強調すること。コンピュータにではなく、聴衆に顔を向けて話すこと。(中略)また、陳腐なクリップアートも捨て去ること。あらかじめプログラムされた音響効果はやめにして、自分の声で話すこと。誰かが作った、作りかけのデータではなく、自分自身の考えを示すこと。
自分の話で人を楽しませること。自分の体験談で人を感動させること。自分の素晴らしさで人を驚かせること。自分の熱意で人を説得すること。興奮を伝え、好奇心を駆り立てること、です。そのほか、何をやってもかまいませんが、とにかくプレゼンテーション・ソフトで人を退屈させることだけはだめです。
pp.222-223
中間発表前に痛い指摘だな・・・自分も前から思っていたのだけど、大学に入ってからPPを使った授業が多くなって、何かものたりないような気はしていた。どうしてだろう?