ロボットの魂
- 作者: バリントン・J.ベイリー,Barrington J. Bayley,大森望
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1993/09
- メディア: 文庫
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っていうSFを読んだ。このSFの主人公はジャスペロダスという舌かみそうな名前のロボット。このロボットが今までにないタイプで痛快だ。
ジャスペロダスはあるロボット技師の夫妻によって造られるが物語が始まって3ページで両親を捨てて家出してしまう。その後、殺人を犯し、盗賊団に入り、王宮に取り入り、玉座まで奪取してしまう。アシモフのロボット工学三原則(2002/05/13)に反旗を翻して書かれているようだ。
面白いのは武力を使うのではなく知力を使って成し遂げている点だ。ロボットが武力で反乱を起こすような話はよく聞くが、この小説ではロボットの知能が武器になっている点が面白い。
その一方で、ジャスペロダスは自分に意識は存在するのか悩み続け、哲学的な思索を深めていく・・・結局、意識とは魂、人間にのみ存在するものであり、創られた自分には意識がないと結論づけられてしまったジャスペロダスは失望し、自殺(自壊?)を決意する。
とこんなお話。最後の最後でどんでん返しがあるがそれは内緒。
解説で哲学者の黒崎さんが面白いことを書いている。
ジャスペロダスよ、デカルトを読め!君は「我思う故に我有り」という哲学説を知らないのか、と哲学研究者なら叫ぶであろう。
p.379
意識について考えていること自体が、意識の存在証明になっているということだろうか。