人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

天知、地知、我知、子知、機知

この前、環境知能シンポジウム2006というのを聴講してきた。環境知能とは、ユビキタスと人工知能を合わせたような概念だと理解している。環境に知的なエージェントが溶け込み、いろいろ助けてくれるってイメージ。

そこで、哲学者の東浩紀さんが環境管理という面白いことを言っていた。環境管理とは、人間を信用しないで、社会秩序を維持しようとする方法のことだ。近年では、環境管理の傾向が強まってきているという*1

たとえば、飲酒運転の防止を運転手のモラルに期待するのをやめて、酒気を検知したらエンジンがかからない車を開発しようという流れが例として挙げられていた。他にも、街中に監視カメラをつける、会社が社員の通信をすべて記録するなーんてのも環境管理の例として考えられるだろう。

環境知能はいろいろ助けてくれるが、事実上「監視されている」ことになる。そのため、強力な環境管理になると危惧されていた。

昔の人は、四知と言っている。すなわち、天知、地知、我知、子知だ。悪さをしても、天と地と自分とあなた(子)の四者は知っている。いつか悪事もばれてしまうという教えだ。こういうこと言ってモラルに期待していたわけだ(専門用語で規律訓練と言うらしい)。

今度は、これに機知が加わるのだろうか?どんな悪さをしても機械は常にお見通しなのだ!これはよいことか悪いことか?

シンポジウムの内容は記録映像として公開されるそうです。

*1:Web2.0は逆だと思いますけど。