平等主義と貴族主義

- 作者: マーク・ブキャナン,阪本芳久
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2005/02/25
- メディア: 単行本
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もうすぐ読み終わる。非常に面白い話題が多いのでポイントをまとめとこう。
スモールワールドネットワークには2種類の型があるという。一つは平等主義的ネットワーク。これは各ノードがほぼ同数のリンクを持っている構造のこと。もう一つは貴族主義的ネットワーク。これはあるノードに多数のリンクが集まっている構造のこと。
貴族主義的ネットワークの代表例としてインターネット、WWW、引用でつながる科学論文のネットワークなどがわかっている。一方、平等主義的ネットワークの代表例として脳のニューロンネットワーク、道路や鉄道などの輸送網、電力網などがわかっている。
問題は、平等主義と貴族主義の違いがどうして生じるかってこと。この本によるとネットワークの成長過程においてリンクを接続する際に、他のリンクが邪魔になるかならないかによって平等主義的になるか貴族主義的になるか決まるらしい。
たとえばWWWとか文献引用なんかはいくらでも自由にリンクが張れるため有名なノードに多数のリンクが集まる貴族主義的ネットワークになる。一方、脳のニューロンや電力網などはあるノードがリンクを張ると他のノードはリンクを張りにくくなる。リンクに物理的な大きさがあるため無制限に張れないということだ。こういう特徴を持つネットワークは平等主義的ネットワークになる。
うーん。面白い。今度シミュレーションで試してみよう。これを最初に見つけた人は相当興奮しただろうな。