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人工知能に関する断創録

人工知能、認知科学、心理学、ロボティクス、生物学などに興味を持っています。このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています。最近は、機械学習・Deep Learningに関する記事が多いです。



力学系とカオス入門を修了

複雑系

ラブレス夫人も、バベッジに劣らずはっきりと気づいていたことであるが、解析機関の発明によって、ことに解析機関が「自分の尻尾を食べること」が可能になったときには、人類は機械化された知能をもてあそぶようになる。

適度に複雑な再帰的システムはどんな予定されたパタンからも逃れられるくらい強力であるらしい。そして、これこそ知性の要件のひとつではなかろうか?自分自身を再帰的に呼び出す手続きから成るプログラムを考えるだけでなく、もっと技巧的な、自分自身を修正できるプログラム―自分自身に働きかけて拡大し、改良し、一般化し、修理できるプログラムを発明するのはどうだろうか?この種の「もつれた再帰性」はおそらく知性の核心部分にかかわっている。

ダグラス・ホフスタッター「ゲーデル・エッシャー・バッハ」

私がこの文章から思い浮かんだのが、機械学習、サイバネティクス、そして力学系

というわけで、以前(2013/10/21)に紹介したサンタフェ研究所 のサイトComplexity Explorerで2014年1月6日から公開されていた力学系とカオスの全10回の入門コース「Introduction to Dynamical Systems and Chaos」を修了した。

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この分野には前から興味があってちまちま勉強していたものの体系的に勉強したことがなかったので今後さらに深く追究していく基礎固めとなった。というわけで今回の講義のポイントを備忘録として非常に簡単にまとめておきたい。

Iterated Functions

第1週は、反復関数系(Iterated Function System: IFS)について。関数の出力を入力に戻すという簡単な計算を続けるといろいろ不思議なことが起きる。数学の勉強をずっとしてきたのに、今まで試してみようとも思わなかった・・・あー、電卓で遊んだことはあったかな(笑)でもこんな奥深くて豊かな成果につながるとは思いもよらなかった。関数の出力が変化しなくなる固定点にはアトラクタとリペラーの二種類がある。

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Differential Equations

第2週は、微分方程式。反復関数と違って、連続的な力学系。複雑系で扱う微分方程式は解析的に解けることがほとんどないので数値計算が重要とのこと。微分方程式の解法をほとんど覚えてないので助かった(笑)微分方程式を数値的に解くオイラー法を初めて知る。

Chaos and the Butterfly Effect

第3週は、カオスバタフライ効果。非常に単純なロジスティック写像からもカオスが生じる。バタフライ効果とは初期状態の非常に小さな差が時間経過に従って拡大され予測不可能な状態にいたることを指す。専門用語では初期値鋭敏性(SDIC: Sensitive Dependence on Initial Conditions)と呼ばれる。

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Bifurcations

第4週と第5週は、分岐。力学系のパラメータを少しずつ変えていくといきなり挙動が変わる現象のこと。ロジスティック写像の分岐図をどこまで拡大していっても同じ分岐構造が見えるフラクタルになっている。

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Universality

第6週は、普遍性。分岐図に隠された普遍性。分岐が生じる間隔比は、次第にδ=4.669201...(ファイゲンバウム定数)に近づく。これはロジスティック写像だけでなく、二次関数やサイン関数など他の単峰性の関数でも普遍的に成り立つ。しかも、蛇口の水ポタのような自然界のカオス現象でも普遍的に観測される。マジかよ!

Phase Space

第7週は、位相空間。ようやく多変量の力学系に突入。捕食者と被食者の関係をモデル化したロトカ=ヴォルテラの方程式エノン写像について。二次元の連続力学系では、軌道が重ねられないのでカオスは生じない。連続力学系でカオスが生じるには三次元以上が必要。これを証明したのがポアンカレ・ベンディクソンの定理。一方、離散力学系なら一次元でも二次元でもカオスは生じる。

Strange Attractors

第8週は、ストレンジアトラクタ。カオスの中にも秩序があった。エノンアトラクタレスラーアトラクタローレンツアトラクタについて。周囲の点はこの奇妙な形をしたアトラクタに引き込まれる。

この講義で紹介されたデモページ。

Pattern Formation

第9週は、反応拡散系パターン形成について。局所的な規則から大域的なパターンが自己組織化する。チューリングがこういった研究をしていたのが興味深かった。


Summary and Conclusions

最後は全体の振り返りとStephen H. Kellert教授、Stephen W. Morris教授へのインタビュー。

Additional Reading

この講義の内容はDavid Feldman先生の下の本に沿っていた。この本は非常に基礎的なところから段階的に説明がされていて非常にわかりやすい。このコースにはなかったフラクタルやセルオートマトン(2012/1/13)の話題も載っている。演習の解答集もサポートサイトから申し込めばダウンロードできた。

Chaos and Fractals: An Elementary Introduction

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その他にコースで読むことを薦められた本。講義のペースが速くて消化不良気味なので個々のテーマについてはさらに深耕していきたい。

カオス―新しい科学をつくる (新潮文庫)

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カオス的世界像―非定形の理論から複雑系の科学へ

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In the Wake of Chaos: Unpredictable Order in Dynamical Systems (Science and Its Conceptual Foundations series)

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