人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

Complexity Explorer

複雑系の研究で有名なサンタフェ研究所がComplexity Explorerという複雑系のオープンコースを公開しています。今流行のいわゆるMOOC(Massive open online course)というやつです。教授のビデオレクチャーを毎週受けて、宿題を解いて、テストを受けるという一般的なコースです。宿題やテストはオプションなので嫌なら特にやる必要はないみたいですよ(笑)

2013年9月29日からIntroduction to Complexityという複雑系入門の講義が公開されています。

  1. What is Complexity?
  2. Dynamics and Chaos
  3. Fractals
  4. Information, Order, and Randomness
  5. Genetic Algorithms
  6. Cellular Automata
  7. Models of Self-Organization
  8. Cooperation in Social Systems
  9. Scaling in Biology and Society
  10. Networks
  11. Wrapping Up; Virtual Field Trip

フラクタルまで受講したのですが、特に高度な数学の知識は必要なく、高校レベルの知識があれば十分こなせる内容でした。複雑系に興味のある方は受講してみたらいかがでしょうか?2013年12月13日まではいつでも受講できるようになっています。ただ、講義はすべて英語なので日本人には少しきついかも。Youtubeで配信されているので字幕機能をONにすれば音声認識の字幕は表示されます。

この講義では、NetLogoという複雑系シミュレータを使って、複雑系のさまざまな現象を実際に動く形で見せてくれます(もちろん手元のマシンで動かすこともできます)。例えば、マルチエージェントシミュレーションでは蟻の例(2005/4/24)が有名なのですが、このシミュレーションも実に簡単に書けます。

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今年、作ろうと思っていた(2013/1/1)、L-Systemもこの通り。

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マンデルブロ集合もリアルタイムのアニメーションで見られます。う、美しい。

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ライフゲーム(2013/1/5)なんてたったの54行で書けてしまう・・・

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さらになんと3Dのボイドまで書けちゃんです。

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NetLogoの各モデルには、ソースコード、モデルの使い方、拡張のヒント、関連文献へのリンクも充実しているためNetLogoを動かしているだけで複雑系への理解が深まります。NetLogoの存在は知っていたけどここまで本格的な言語だと思っていませんでした。NetLogoの日本語マニュアルもあるのでこの講義を機会に少し深く勉強してみたいと思っています。

最後に今まで読んだ複雑系関連の面白かった入門書をあげます。他にもたくさんあるけどまたおいおい紹介していきたいと思います。

ガイドツアー 複雑系の世界: サンタフェ研究所講義ノートから

ガイドツアー 複雑系の世界: サンタフェ研究所講義ノートから

Complexity Explorerの講師のメラニー・ミッチェルさんの書かれた本です。複雑系の世界を一通り見て回るのに非常によい本です。カオス、自己複製、遺伝的アルゴリズム、セルオートマトン、複雑ネットワークなどが取り上げられています。上の講義はこの本の内容に沿っています。

複雑系入門―知のフロンティアへの冒険

複雑系入門―知のフロンティアへの冒険

この本も複雑系の話題を広く浅く分かりやすくまとめられていて入門には最適です。参考文献が充実しておりさらに勉強するのにも便利です。

複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)

複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)

  • 作者: M.ミッチェルワールドロップ,Mitchell M. Waldrop,田中三彦,遠山峻征
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/05
  • メディア: 文庫
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私が学生時代に始めて読んだ複雑系の本(2003/1/16)でした。それぞれバラバラに理解していた遺伝的アルゴリズム(2011/1/9)、人工生命(2002/3/13)、創発(2002/7/3)などが複雑系という分野に含まれる概念であることを始めて知りました。

「複雑系」を超えて―システムを永久進化させる9つの法則

「複雑系」を超えて―システムを永久進化させる9つの法則

この本は複雑系の一般書の中で今のところ一番のお気に入りです。英語のタイトルはずばり「Out of Control」です。Out of Controlだけれども秩序を持ったシステム(2009/3/23)をどうすれば創れるか?という課題は追究したいテーマの一つになりました。