人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

知の創成―身体性認知科学への招待

古典的人工知能に代わる新しい人工知能のパラダイム、身体性認知科学、行動に基づく知能に関する本。

知の創成―身体性認知科学への招待

知の創成―身体性認知科学への招待

  • 作者: ロルフファイファー,クリスチャンシャイアー,石黒章夫,細田耕,小林宏
  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売日: 2001/11/10
  • メディア: 単行本
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行動に基づく知能は R. Brooks が提唱した概念で一言で言うと知能の創発には身体の存在と実世界との相互作用が不可欠だという考え方。

マサチューセッツ工科大学人工知能研究所のRodney Brooksによると、それまでの思考や論理、そして問題解決に関する議論は、すべてわれわれの自己内省、つまりわれわれが自分自身をどのように見ているかを背景に考えられることが多かった。この仮定を捨て去り、思考やいわゆる高次の認知ではなく、実世界との相互作用に注目すべきであるというのが彼の主張であった。知能は身体をもたなければならないというこの考えを、Brooksは「身体的知能(embodied intelligence)」と呼んだ。

知の創成(序文 p.x)

この考えを知ったときは目からウロコが落ちる感じがした。非常に面白い考え方だと思う。ただこの方法で首尾一貫した行動と知能が作れるのだろうかという疑問はまだ解消されてない。

またこの考え方は行動主義の復活なのかという疑問がある。行動主義というのは心理学の一派で人の内省は参考にならず、行動だけが唯一研究できる対象だという考え方。行動主義は一世を風靡したが、その後否定され人の内面を研究対象とした認知心理学が興った。人工知能研究の流れは再び行動主義に移っているように見えるがどうなんだろう?

古典的人工知能 ⇔ 認知心理学
身体性認知科学 ⇔ 行動主義心理学?

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