人工知能におけるゲームの役割
情報処理という雑誌で『知能ロボットの技術 人工知能からのアプローチ』という特集が組まれていた。その中で
- M. Campbell: 人工知能におけるゲームの役割, 情報処理, Vol.44, No.11, 2003.
という論文が一番面白かった。特に人工知能で扱うゲームの内容がチェスや碁から対話的なゲームに進むという予想のところ。自分も同意。以下、引用。
チェスや碁などの、伝統的な戦略ゲームの研究が進む一方、人工知能を用いたゲームの研究の将来は、対話的なゲーム(interactive game)の方向に進むと見られる。
対話的ゲームをよりリアルに、また面白くするために知的な登場人物や複雑な仮想世界を作ることは大きな利点がある。対話的なコンピュータゲームのそれぞれのジャンル(アクション、ロールプレーイング、アドベンチャー、戦略、スポーツ)にはそれぞれ特有のチャレンジがある。人工知能の研究が貢献できる場面としては、それらしい戦術を持つ敵、味方、他のキャラクタなどがある。当面、人工知能研究者にとって、さまざまな研究テーマを提供する場となろう。
日本の論文でこういうこと書いてあるのは森川さんの論文
- 森川: テレビゲームへの人工知能技術の利用 (PDF), 人工知能学会誌, Vol.14, No.2, 1999.
くらいでほとんど見たことなかった。ゲームというとチェス、碁、将棋ばっかだったように思う。たぶん、ビデオゲームみたいなのは職人芸的でアカデミックな場に合わないからだろう。最近、ゲーム学会ってのができたみたいで今後の展開を期待してる。
一方、海外ではこういうのがたくさん研究されているようで、Campbellさんの論文の参考文献たどるといろいろな論文が発見できた。Lairdさんの論文
- J. E. Laird, M. V. Lent: Human-level AI's Killer Application: Interactive Computer Games (PDF), AAAI National Conference on Artificial Intelligence, 2000.
を読んでみたがかなり過激なことが書いてある。内容は後日紹介したい。