The Wisdom of Crowds
日本語で言うと集団の知恵。
- 作者: ジェームズ・スロウィッキー,小高尚子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/31
- メディア: 単行本
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何かハウツー本に見えるけど内容はかなり深い。この本の言いたいことは
正しい状況下では、集団はきわめて優れた知力を発揮するし、それは往々にして集団の中でいちばん優秀な個人の知力より優れている。(中略)集団のメンバーの大半があまりものを知らなくても合理的でなくても、集団として賢い判断を下せる。
pp.9-10
例としてGoogleのPageRankアルゴリズム、選挙予測、株式市場などがあげられている。反例と考えられるヒトラーとか戦前日本とかバブルとか衆愚政治とかどうやって論破するのかなーって思ったのだが集団の知恵を発揮する4つの条件が示されていた。なかなか興味深い。
- 多様性
- 各人が独自の指摘情報を多少なり持っている
- 独立性
- 他者の考えに左右されない
- 分散性
- 身近な情報に特化し、それを利用できる
- 集約性
- 個々人の判断を集約するメカニズムの存在
p.28
確かに衆愚が生じるときはどれかの条件が壊れてるなーと感心した。
ちなみに機械学習でも似たようなアイデアを使って成功した例がある。アンサンブル学習(Ensemble learning)と呼ばれるアルゴリズム。
- アンサンブル学習(コミッティ学習)
- 複数の分類器(アンサンブル)の結果を統合したものは個々の分類器の精度よりもずっと良くなるという性質を利用したもので、教師つき学習の精度を向上させる手法である。
人工知能学事典、p.653
1個1個の識別器の精度は低くても、複数集めて投票で結果を決定すると精度がよくなるってこと。数学的に証明できるみたい。もちろん個々の識別器は独立であることが条件になっている。みんなの意見が案外正しいことは数学的に証明できるんですかね?うーん、とはいうものの独立した集団より相互作用する集団のほうが興味深いかも。
関連リンク
- 三人寄れば文殊の知恵(2005/11/4)