人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

創発

マルチエージェントの論文にはよく創発という言葉が出てくる。創発とは、個々の個体のレベルでは、機械的な感覚、反応系に基づいて単純な行動戦略しか取れないのに、それらが多数集まることによって組織的な秩序を持った行動が発現される現象を言う。

この現象はもとは、人工生命の分野で C. Langton が提唱したものだが、今では、多くの分野で創発が見られることがわかった。

社会では、個々の個体は人間一人一人、多数集まって社会を作ることによって秩序が生まれている。経済でもアダム・スミスが「神の見えざる手」と表現したように、個々の人間は自分の利益を追求していても、全体的には秩序が保たれている。生命においても、多数の細胞が集まることによって、全体的に秩序を保っている。同様にニューロンが集まることによって、知能や心が創発している。

創発の仕組みを知ることは、今まで分からなかった多くのことを解明する第一歩だと思う。