人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

Mindstormsと高等教育

今月号の人工知能学会誌の特集は「Mindstormsと高等教育」。Mindstormsを大学の講義で使おうという面白い試みが紹介されている。実は私は著者の宮崎さんのMindstormsで作った強化学習ロボットの論文を読んでからMindstormsほしくなったのだ。

ちなみにMindstormsってのは前に書いたけどこれ(2006/2/18)ね。おもちゃだと侮ることなかれ。CやJavaでプログラミングできるし、サブサンプションアーキテクチャ(2006/3/12)まで実装できるのだ。強化学習も!

高等教育で使うよりこの人みたいに小さいお子さんに買ってあげるのが一番いいかも。いっしょにやると楽しいだろうな。

実はMindstorms NXTってのが出てる。コンピュータも高性能になり、2足歩行ロボットまで作れるとか。いずれほしいなー。でもあんまりやる時間ないし(ボソ)

インテリジェンス・ダイナミクス2006

インテリジェンス・ダイナミクス2006(2006/02/20)の続き。

聴講してきた。久しぶりに興奮するアイデアに出会った。『多様な経験から生み出されるインテリジェンス・モデル』って講演とQRIOを使ったデモ。

何がすごいかって言うとまったく異なる複数のタスクを1つの共通の基盤で学習できたこと。これは感動した!

まずボール転がし、ベル叩き、迷路遊び、ミニカー遊び、ボール打ち返し、風船キャッチ、風船パンチ、ままごと遊び、木馬、ブロック崩しなどのタスクをQRIOに学習させる。やり方は初期誘導学習(2005/09/21)のようにQRIOを人間が遠隔操作して教示する方法のようだ。

何がすごいかっていうとこれら10以上のタスクをRNN-SOM*1という単一の記憶システムに学習させているところ。タスクごとに学習器を用意していないのだ

各タスクを学習させるとSOM上にダイナミックにタスクの経験が記憶される。そして、ある状況が与えられるとマップ上の該当部分が発火して学習した動作が再生されていた。たとえば、目の前に赤い風船が与えられるとチョップが再生され、ミニカーをおくとミニカー遊びが再生され、ブロックを置くと壊そうとする・・・面白い。論文とか出てたらぜひ読んでみたいな。

その他の講演も期待通り楽しいものでした。ただ茂木さんの話は事前に著書を一通り読んでいたのであんまり目新しいアイデアはなかった。本の方ですでにいっぱいあったけど。成果は書籍にまとまっていくそうです。

関連リンク

脳・身体性・ロボット (インテリジェンス・ダイナミクス)

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  • 作者: 土井利忠,藤田雅博,下村秀樹
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*1:RNNはリカレントニューラルネットワーク、SOMは自己組織化マップの略。14×14ノードのSOMなのだが各ノードがそれぞれリカレントニューラルネットワークという複雑なもの