人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

新・ロボット工学三原則(ソニー)

鉄腕アトムは電気羊の夢を見るか

鉄腕アトムは電気羊の夢を見るか

って本を読んでたらソニー版の新・ロボット工学三原則が載ってた。なかなか興味深い。

第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。自分に危害を加えようとする人間から逃げることは許されるが、反撃してはいけない。
第二条
ロボットは原則として人間に対して注意と愛情を向けるが、ときに反抗的な態度を取ることも許される。
第三条
ロボットは原則として人間の愚痴を辛抱強く聞くが、ときには憎まれ口を利くことも許される。

アシモフが考えたロボット工学三原則 by Issac Asimov(2002/05/13)と比べてみると面白い。アシモフのは絶対服従の奴隷的でソニーのは友達的な面が強く出ている。AIBOを創ったソニーらしい。

この三原則に対する著者の布施さんの考えとAIBOを創った土井さんの受け答えがとても意味深い。

布施:ソニー版の新ロボット三原則をみて、これを自分なりに要約すると、「思い通りにならない。そこに価値がある」ということで、予測不能のものをあえて作るということだ。この世にある予測不能のものとは何か。それは「自然」である。

(中略)

土井:必ずしもそうじゃないね。予測不可能ということだったら、乱数を発生すればいいのであって、乱数を発生させてデタラメやっているものに人が癒されるかというと、そんなことはないと思う。やっぱりそこには、背後に感情みたいなものがあったり、本能みたいなものがあったり、なんとなく生き物としての感覚があるわけですよね。反抗する態度とか憎まれ口というのは、必ずしも自然そのものとは違います。それはある程度、そこにバーチャルな意志みたいなものがあって、それが出てくることだと思う。

pp.64-65

非常に鋭い指摘だと思う。ためしに、最新のAIBO(リンク切れ)買ってみたくなった。