人工知能に関する断創録

このブログでは人工知能のさまざまな分野について調査したことをまとめています(更新停止: 2019年12月31日)

電子図書館と司書機械

パーソナルライブラリアン(2005/5/9)と関連。

アラン・ケイ(2005/8/23)に読んでいた『アラン・ケイ』という本の浜野保樹さんの評伝に面白い記述があった。

あるとき、読書家のアラン少年は、あるSF小説に登場する機械に興味を持った。ロバート・ハインラインが1948年に書いた『深淵』という短編小説で、そこには次のような記述があった。

「知識の整理、取り出しやすさは、昔も今も変わらず、もっともスピードを必要とする問題だ。新人類については、完全に系統づけられた記憶がほとんどの問題を解決し、記録の保存や読み書きのほとんどを ―そして、とくに、読みなおして時間をむだにする面倒を― 不必要にしている。自動筆記用具は司書機械(ライブラリアン・マシン)と統合し、ファイリング・システムとして、その中にビルトインされた高速語のその部分を"聞く"ことができ、残りの問題のほとんどを解決した。新人類(ニューマン)たちは、数限りない書類の山に埋もれることはない。彼らは、決してメモをとらないのだ。

p.174

ハインライン?どっかで聞いたことある名前だと思ったら『夏への扉』の著者じゃないか。

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

話は変わるが、この本のダン・デイヴィスも技術者の鑑だ。何かアラン・ケイとイメージが重なる(笑)

話を戻すが上の『深淵』書かれた年を見て驚いた。1948年って・・・まだまともなコンピュータも無かった時代じゃん。その時代にこんなこと書いてる人がいるなんて驚きだ。SFは想像力を刺激するのですごくいい。

そのSFも実現が近づいてきている。近年では、電子図書館に関する研究がたくさん行われているようだ。本もいくつか出ている。

電子図書館 (岩波科学ライブラリー)

電子図書館 (岩波科学ライブラリー)

電子図書館

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こういうことを研究するのは、図書館情報学という分野のようだ。暇を見て勉強してみたい。

現実の図書館ですぐ思い浮かぶのは(美人)司書さんだ。じゃ、電子図書館の司書はいったい何ができるのだろう?どんな機能が考えられるのだろう?すごく興味がわいてる。本がすべて電子化されれば*1、その電子データを使ってとんでもないことができそうな予感がする・・・その本の電子データを使って知識を「自動で」学習するエージェントは作れないものか。そういう研究はすでにないのかな。

ちなみに『深淵』は、

失われた遺産 (ハヤカワ文庫 SF 482 ハインライン傑作集 1)

失われた遺産 (ハヤカワ文庫 SF 482 ハインライン傑作集 1)

に収録されているそうです。

*1:Googleの野望の1つと聞いたことがある。