ピアジェの発達心理学
今日は、放送大学で「心的発達と教育・社会化」という認知科学の話がやっていた。発達というのは広辞苑によると、
個体がその生命活動において、環境に適応してゆく過程、人類の文化遺産の習得によって身体的、精神的に変化する過程、成長と学習との二要因を含む。
とある。主に乳幼児の成長に関する文脈で使われることが多い感じがする(認知科学における厳密な定義は知らないけど)。
で、「発達」というとピアジェというくらいピアジェは有名な研究者。ピアジェは観察に基づいて子供の発達過程の理論を作ったらしい。話を聞いてメモったことをメモっとく。だけど何歳のときかメモるの忘れてしまった。
【ピアジェの理論による子供の発達過程】
- 反射,シェマの発現
- 生得的反射
- 眠りからの覚醒
- 注視,追視
- 第一次循環(フィードバック)反応
- 自分の身体に限られた反復反応
- 身体を動かしてその感覚を楽しむようになる
- 第二次循環反応
- 見たものに手を伸ばす
- つかむ
- 一部が隠れたものを探す
- 第二次シェマの協応
- 目的と手段の分離
- 障害物をのける
- 探索の始まり
- 第三次循環反応
- 試行錯誤による新手段の発見
- 容器と中味の関係
- シェマの内面化
- 表象の出現
- 心内実験による突然の解決
- 前概念的思考
- イメージ,象徴
- 言語の発達
- 描画
- 直感的思考
- 不充分だが概念形成
- 分類課題(一次元) 色だけで分類のように分類基準が一つ
- 操作的活動
- 具体的,論理的思考
- 保存概念 ものの重さは変わらないとか
- 分類課題(二次元) 色と形で分類のように分類基準が二つ
- 抽象的思考段階
- 抽象的論理
- 負の数
ピアジェの理論では子供の発達は上の順で段階的に起こるものだとしている。でも最新の研究では段階的には起こらない証拠も見つかっていると話していた。たとえば、生まれて2週間の子供でも足し算、引き算の基本的概念を持っている。連続運動が理解できる。ある・なしの概念があることがわかっている。生得的かという議論もあるらしい。
ピアジェの理論で面白いと思ったのは、第三次循環反応の「試行錯誤による新手法の発見」ってところ。これ、強化学習じゃないかと思った。講師の相場さんも「環境とのかかわり」を重視していた。あと、前半では行動学習が中心の身体性人工知能、行動に基づく知能に近いのに対し、発達過程の後半に行くにつれ、従来の人工知能で行われている内容に近くなっていくのも興味深い。
このような子供の発達をロボットで実現するって研究はMITの人工知能研究所で行われているBrooksさんらのCogプロジェクトってのと、大阪大学の浅田さんが提唱している認知発達ロボティクス(研究内容のリンク参照)っていうのだと思うんだけど、強化学習が使われているか(他のどんなアルゴリズムが使われているか)はよくわからない。自分としては強化学習でできそうだと思っているがどうなのか?今度、論文読んで調べておきたい。あと、もちろんピアジェの発達心理学はもう少し詳しく本読んで調べておきたい。