帰納学習(例からの学習)
知識獲得と学習シリーズ1巻からの引用。
論証(今では演繹とよんでいる)を通じて科学的知識を獲得することは、根源的直接命題を知らない限り不可能である・・・われわれは帰納により根源的命題を知らなければならない。なぜならば、知覚ですらも帰納により普遍的なことがわかるからである・・・
アリストテレス、分析論後書
これを読んだとき、妙に納得した。演繹というのは、論理に基いて完全に証明可能な方法で結論を導く方式のこと。数学では、公理から演繹を行い定理を作り数学の体系を作ること(トップダウン的)ができる。でも物理では公理にあたる究極的な原理がわからないから演繹しようがない。自然界で起こる個々の例から帰納によってボトムアップ的に究極原理を見つける。対照的だと思った。
コンピュータではどうかというと、演繹はもちろん得意。人間がプログラムとデータを与えれば、完全な論理と計算に基いて結論をすごい速さで求めてくれる。じゃ、帰納は?というと帰納学習の研究で一生懸命やられているがすごく難しいらしい(どう難しいかは今調べ中、しかし、帰納をするのにアルゴリズムに基いた演繹的な方法でやるというのも矛盾したものを感じている)。でも、科学技術と人類の発展は帰納によって推進されるように思う(というか事実そうだろう)。人間の帰納の力を増すための機械、人間を越える帰納する機械を実現するためにも重要な分野だと感じた。