創造の源泉
- 作者: 池谷裕二,糸井重里
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/06
- メディア: 文庫
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という本を読んでいた。この本は脳の海馬(記憶を司る)を中心にして脳に関するさまざまな話題が糸井重里さんと池谷裕二さんの対談形式で紹介されている。今まで聞いたことのないような新しい視点がいくつか得られてとても楽しめた。なかでも「センスは記憶」という部分がとても楽しい。
糸井:
池谷さんが、ものを憶えることについて、「暗記メモリー(WHATの記憶)」と「経験メモリー(HOWの記憶)」というようにふたつに分けていたことを、すごく「いいなぁ」と思いました。言われてみると当然なのですけれども、それを聞くと、何かを考えることについても「HOWの記憶の組み合わせなんだ」と見ることができますよね。クリエイティブな仕事をそういう視点で見ると、おもしろいんじゃないかなぁと思います。「名人の極意」だとか、クリエイティブだと言われているようなこと全般が、「実はHOWの記憶の組み合わせでできている」というか、クリエイティビティも、一種のテクノロジーなんだと考えられますから。p.245
赤字のところは面白い指摘だ。クリエイティビティ(創造力)は膨大な記憶の何らかの組み合わせから生まれているってことだ。
考える脳 考えるコンピューター(2005/4/11)における脳は記憶システムであるという指摘やセレンディピティ・マシン(2005/8/11)における膨大な情報からセレンディピティ(偶然の発見)が生まれるという指摘にも通じている。
創造性を引き起こすような記憶の構造ですぐ思い浮かぶのは連想記憶だ。かなり昔に知識表現の研究で意味ネットワークという知識構造が提案されていた*1。あれをもっと大規模、複雑化して何かできないだろうか。というか意味ネットワークの研究って今どうなってんだ。
*1:アソシアトロンというパターンよりの連想記憶構造も提案されている