生命40億年全史
- 作者: リチャードフォーティ,Richard A. Fortey,渡辺政隆
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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この本は40億年前に宇宙の塵から生命が誕生したところから人類誕生までの歴史が書かれている。前に新聞の書評に出ていて気になったので借りて読んでた。
ヒト(もちろん自分も)が40億年前の最初の生命からずっとつながっているという事実に愕然とした。ヒトの祖先がアフリカのただ一人の女性に由来するイブ仮説ってのは聞いたことあり感動してたが、それ以前にヒトを含めあらゆる生物は40億年前の生命につながっているというのに気がつかされた。ヒトはサルから進化したというが、サルも何かから進化したものだろうし、その何かも他の何かから進化し、その他の何かもさらに他の何かから進化したはず。こうやってずっとずっとずっとたどっていくと40億年前まで遡れるはず。無から突然生物が現れたなんてことは考えられないから。
ってことは、自分もずっとずっとたどっていくと40億年前の最初の生物に行き着くはず。こう考えると、40億年間枝が途切れず、今自分が存在しているのがすごい奇跡に思える。生存して子孫を残す確率を世代数乗したものが今自分が存在している確率だろう。生存して子孫を残す確率は1以下で40億年前から数えた世代数はすさまじい数だろうから、そんな確率は限りなく0に近いはず。
こんなほぼ確率0で存在している生物の枝を刈り取る行為の罪深さを考えさせられた。個体の殺生はもちろんそうだが種の絶滅(自然によるのは仕方ない。ここでは人為的な)はさらに罪深い。もしある生物を殺してそこで枝を刈り取ったとしたら、その生物から伸びる枝上に存在するはずだった全ての生命を奪ったことに等しい。
手塚治虫さんが釈迦の生涯を描いた『ブッダ』という本(漫画ですが)を読んだ。
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2002/11/01
- メディア: 文庫
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そこに次のようなエピソードがある。ブッダとアヒンサーという名前の盗賊とのやり取り。
ブッダ:おまえはいままでに何百人も殺したという。だが一度ぐらいなさけをかけてやったことはないか?
アヒンサー:あ…ある。赤ん坊だっ。ひとり見逃してやった!あんまりかわいかったからな。殺さなかったんだ。
ブッダ:もしそうならそれだけでおまえは大きな善をほどこしたのだ。なぜならその子は無事に育ち、子孫をふやすことができるだろう。
アヒンサー:それがどうだってんだ……
ブッダ:かりにあと百年たってその子の子孫が百万人にふえ、こういうだろう。百年前ある人間が命を助けてくれた。そのおかげでこんなに栄えているんだとね。おまえはあがめられ、その一族に永久に語り伝えられる。
アヒンサー:お…おれがあがめられ……じょうだんじゃねえ!!おれは…何百人も殺した殺人鬼だぞッ。
ブッダ:百人殺すのはよくない。だがなひとりを生きながらえさせるのはとうとい。百万人になるからな………
手塚治虫: ブッダ 第11巻 祇園精舎, p.63, 潮ビジュアル文庫
百年で百万人とはずいぶん子沢山ですね(笑)
ちなみに「アヒンサー」とは生き物に対する不殺生、非暴力、同情という意味がある。こんなの読んだらもうゴキブリもばしばしできないなぁ。