R&D
人工知能学会誌を読んでいたら面白い記事があった。
坂間: AIにかける橋, 人工知能学会誌, Vol.12, No.5, p.653 (1997)
「研究開発をR&Dと表現するが、これは全くの誤りである。R(Research)とD(Development)は、水と油のように性質が異なるものである。このため、R⇔Dと表現すべきである。」私も長く研究管理に関わってきたが、RとDの対立にたびたび遭遇した。R派は、一般に実用化やビジネス化を毛嫌いする。「D派の成果は実用に役立つが、単に泥にまみれて作ったものだ。普遍性も新理論もない」と言ったりする。一方D派は、「R派の成果は、研究のための研究であり、狭いコミュニティの自己満足にすぎない。Toy Worldでの成果は全く現実世界には通用しない」と言ったりする。よく考えてみると、AIの領域にも、RとDの間に水と油のような関係、言い換えると、RとDの間に深い谷が存在しているのではないだろうか。
なるほど、なるほど。では、どうしたらよいのか?著者はこう指摘している。
AIにおいて今重要なのは、RでもDでもない。RとDをつなぐかけ橋が重要である。RのためのRは簡単である?DのためのDは簡単である?創意工夫が要求され、非常なる努力を要するものは、RとDをつなぐことに存在すると考える。そして、RとDのかけ橋のために努力している人々の成果を、言い換えれば、古い学問体系や基準では無視されてしまう成果を正しく評価できる、AIにふさわしい新しい基準の芽を早急に確立する必要があるだろう。
AIは面白い研究の宝の山だと思う。それをどう応用問題に結びつけるか。今まで、多くの人がそれに向けて努力をしているのは、論文を読めば大体分かる。一方、研究のための研究というのが多いのも時々感じる。自分はどうするのだろう。